『篁千礼特別彩色 国宝 木造 金剛力士立像』は、奈良の寺院が所蔵する国宝 木造金剛力士立像をモデルに、総高およそ45cmの見応えあるサイズで彫り上げた木彫仏像です。一体一体、仏像彩色師 篁千礼が精魂込めて手彩色をほどこし完成する、迫力の造形美と美麗な彩色を存分にご堪能いただける逸品です。
国宝模造シリーズは、長年培ってきた美術工芸品制作の技術とノウハウの集大成によって“高品質低価格”を実現した製品です。モデル像の造型を元に完成サイズに合わせ、バランス等を調整して制作した原型を3Dスキャンし、取得した精巧なデータをもとに、長年仏像制作を依頼している木彫工房の3D切削機で量産。最後に熟練した職人が細部を彫刻して仕上げとなります。この工程が旧来の製法ではなし得なかった品質と価格を生み出し、さらに日本屈指の彩色師 篁千礼が木彫り特有の木目と質感を生かした独自の彩色を施すことで、価値ある美術品へと昇華させました。仏教美術品として、また貴家を護る守護神として末永くお祀りください。
大仏師 運慶、快慶らが手掛けた鎌倉時代の大作、国宝「木造 金剛力士立像」がモデル。憤怒の表情や緊張感みなぎる手足、筋骨隆々の見事な体躯など鎌倉彫刻の特徴である写実性に富んだ造形です。
執金剛神という神が、釈迦に仕えることで二体に分かれたものが金剛力士です。口を「あ」の形に開く“阿形”、「ん」の形に結ぶ“吽形”の二体一対で、寺院門前の左右に仁王立ちし仏法を護るとされます。
「あ・うん」は、息を吸って吐くという意味合いを持ちます。息がぴったり合うことを表す言葉「阿吽の呼吸」は、二体一対の強い力で寺院を守護する金剛力士に由来するものです。
「うつすこと まなぶことは 美の創造の原点だ!」をテーマに、2005年、東京国立博物館で特別展《模写・模造と日本美術-うつす・まなぶ・つたえる-》が開催されました。
作品の「模写・模造」は、洋の東西を問わず古くから多くの芸術家たちが繰り返し行ってきており、ローマ時代にはギリシャ彫刻の名作が数多く大理石に模刻され、また室町時代の画聖・雪舟は、模写によって学んだ異国の画風や技法を礎に多くの傑作を生み出しました。その雪舟の作品は、江戸時代の狩野派の画家たちが盛んに写し学んでいったのです。模写・模造は「ほんもの」ではない価値の低いものとされるのが常ですが、美術工芸における制作の過程では「模写・模造」こそが、さらなる創造を生み出す原点となり、古典の再生をもたらす原動力となってきました。
製品を通じて伝移模写の精神をぜひ感じ取っていただき、仏教美術として、また祈りの対象として一人でも多くの方が国宝模造仏像に興味を持ってくださることを切に願います。