フィルター

      造形に備わる柔らかな密度や姿勢の安定感、そして静止の内に保たれた開かれた在り方を手がかりに、観音像を選んでいます。観音像は、力を示したり結論を示したりする存在ではありません。わずかに傾いた身の構え、なだらかな線の流れ、閉じきらない佇まいによって、受け止めるための姿勢そのものが造形として表されています。

      時代や素材が異なっても、制作者たちが向き合ってきた問いは共通しています。形の安定を失うことなく、どのように開かれた状態を保つか。感情に傾きすぎることなく、やさしさをいかに留めるか。観音像に示されているのは行為や反応そのものではなく、いつでも応じうる状態、包容が外に向かって放たれる前の、静かな準備の段階です。

      一体一体の像は、主張することも退くこともなく、その場に静かに立っています。その佇まいの中に、柔らかさ、節度、そして受け止めるための余白が造形として保たれ、観音像ならではの存在のかたちを穏やかに示しています。

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