【雲上観音菩薩】は、日本の仏師と高岡銅器老舗メーカーの協力を得て制作した観音様です。観音様というと、一般的に立っている姿を想像しますが、この観音様は、月を背に、雲上に座して、救いの手を差し伸べるお姿となっております。また、月を表現した円を「メビウスの輪」にすることによってその意味から観音様の永遠の慈悲に見立てています。原型のデザインは富山県井波の仏師「石原良定」氏に依頼をしてメーカーと共同で完成させました。また、製造は高岡銅器の老舗メーカーに依頼し、蝋型製法という原型からの再現性が高い、手間隙かけた方法で制作しております。
観音像はいわゆるご利益をただ求めるだけのものではございません。日常の身近な空間に観音さまがいらっしゃることで、その場所の雰囲気を変え、常日頃の生活に癒しや安らぎを生み出します。その結果、お客様にとって有意義な時間をお過ごしいただけると考えております。
作品に対する思い
遥か昔から彫り継がれてきた仏像。私もその魅力に惹かれて仏像を習い始めてから20年近くになりました。日本には数多くの仏様が存在し、その一つ一つにさらに多くの個別の決まりごとがあります。それを忠実に守って製作するのが仏師の務めであるかと思いますが、私はやはり時代に合わせたものを彫っていきたいと考えており、まだまだ未熟なれど自分なりのアイデアも入れつつ新しいしっかりとした日本人にあう仏像を製作しております。
「蝋型(ろうがた)製法」で仕上げられています。石原仏師の原型となる木型を粘土によって模り、そこに蜂蜜の蝋と松脂とを混合したものを流し込み、製品の原型を作ります。その上に真土(まね)としょうする土でつつんで焼き、中の蝋を流したあとへ銅を鋳込んで製作します。元来は中国より伝えられた製法で、三千年以前、周・奏・以前の遺作があり、我国では天平時代から連綿と継承されています。この製法では、作者の技法や、創造力をきめ細に表現し得る最適な製法として、古来よりの代表的な鋳銅製品は殆んどこの製法で作製されております。