一般的には四天王などの足元に踏まれた形で表現される邪鬼ですが、それが独立して仏前に奉じられる燈篭を捧げ持つ役割を与えられたのがこの天燈鬼龍燈鬼。口を開いた天燈鬼と歯を食いしばる竜燈鬼、阿吽で表される二体一対の善鬼です。
モデルは国宝「木造天燈鬼・竜燈鬼立像」で、竜燈鬼は胎内納入物により鎌倉時代の名仏師・運慶の三男、康弁によるものと判明しています。ユーモラスな姿ではありますが、写実的でダイナミックな筋肉表現が目を引く、慶派ならではの造形が特徴的な傑作です。
イスムでは緻密な造形と彩色により、小さなサイズの中にこの力強さを再現しました。特に両像の目は玉眼を彩色だけで表現するため、7回に分けて色を入れていきます。イスムデビュー時から今なお色あせない人気を誇る珠玉の逸品です。