水澤観世音の名で親しまれている五徳山水澤寺(群馬県渋沢市)。坂東三十三観音、第16番札所としても有名な関東を代表する古刹です。約1300年前、推古天皇・持統天皇の勅願により、高麗の高僧恵灌僧正によって開基されました。また、五徳山水澤寺の名称は、推古天皇の御宸筆(ごしんぴつ)の額名によるものです。
ご本尊は国司高野辺家成公の三女伊香保姫のご持仏であったと伝わる十一面千手観世音菩薩。七難即滅七福即生のご利益により篤い信奉を集めています開山当初は、御堂の数三十余宇、御仏の数一千二百体にも及びましたが、再三の災火により焼失しました。現在の建物は大永年間に仮堂を建立し、宝暦から天命に至る三十三ヶ年の大改築によって完成致しました。
境内の弁天池には龍王辨財天が鎮座し、湧き出る霊泉を求め毎日たくさんの人がお水取りに訪れます。池の底はお礼参りに訪れる方のお賽銭でキラキラと輝いています。
龍王辨財天の最大の特徴は手にした琵琶を琵琶袋に入れて携えていることです。その実の姿かたちが楽器の琵琶に似ていることに由来して名付けられたとされる枇杷。黄金色に輝く実は金運の象徴とされる縁起物です。弁才天がいつしか弁財天と呼ばれることが一般的になり、技芸に加え金運の福の神となったのは琵琶=枇杷にまつわる由来も一端になっているのです。龍王辨財天の琵琶袋に入れた琵琶は、金運や技芸の才能を人々に分け与えるその時まで、運気を大切に高めている象徴とされます。