もとは虚空蔵菩薩として祀られ、後に発見された宝冠から観音菩薩像であることが判明したという経緯を持つ国宝像がモデル。詳細な伝来も不明で謎の多い像ですが、百済観音という愛称で多くの人から親しまれています。飛鳥時代に制作されたというこの像は、すらりとした八頭身の美しいプロポーションを持ち、軽やかな印象を与えます。横からの拝観を想定した天衣の曲線も見どころのひとつです。
わずかに口角を上げ遠くを見つめるアルカイックな表情を出すため、原型修正を繰り返した結果、見る角度によって様ざまなニュアンスをもたらす妙なる表現に到達しました。また、光背に顕著な彩色の経年変化も忠実に再現した自信作です。