肉感豊かで威厳に満ち溢れた実物の存在感を目指して造型。
密教において真理そのもの、宇宙のはじまりであると説かれる本尊、大日如来。あらゆる諸仏は大日如来から生まれたとされ、そのために「根源仏」と呼ばれます。他の如来と違って宝冠をはじめ様ざまな装飾品を身にまとうのは、仏教における王位、つまり最高の存在であることを示しています。
大日如来の智慧の光明は、昼夜の別や影をつくり出す太陽よりも上であるということから「大日」の名が付けられています。
この像のように左の人差し指を右手で握る印相は智拳印といい、堅固な智慧を象徴しています。
モデルは円成寺(奈良県)の国宝「木造大日如来坐像<運慶作>」。鎌倉時代の名仏師・運慶が20代の頃に制作したデビュー作として名高い傑作です。
それまでの平安様式から外れ、如来像の威厳とのびのびとした若さが強調されています。
イスムでは肉感に溢れ堂々とした実物の存在感を目指して造型、上体を大きくうしろに反らせ、胸を張り威厳のある様を表現。像の印象を大きく左右する顔の金箔の剥落具合も、一体ずつ丁寧に彩色で仕上げました。高さおよそ15センチというサイズながら、運慶仏ならではの迫力の造形表現を余すところなく再現しています。