自らの心に宿る慈悲を表現した優しさあふれる仏像制作が特徴の藤田燿憶氏。
こちらの「達磨尊」は抽象的なイメージの中に「達磨大師」の強い意思が感じられる藤田氏オリジナルの作品です。素材を活かしながら厳しい目つきの中に温かみも感じられる造形が魅力の逸品です。
【仏師のことば】
右肩を張り、左肩を下げた姿は、何も求める必要はない、気付きさえすればすでに「本来の心は始めから満ち足りている」との真理に気付かせ、「喝」を授ける場面を表しています。禅宗の問答に「祖師(達磨)再来の意」(どうして達磨さんは西からやって来たのか)という言葉があります。インド(西)から中国(東)へ、法(自然のはたらき)に従い風のように吹き流れ、中国に根付き大木となった後、その種が日本に渡り今日の日本に禅大木が根付いた――そんな事を心に思い描きながら制作いたしました。