国宝『薬師三尊像』の脇侍である日光菩薩像と月光菩薩像は日本仏教彫刻の傑作としてのみならず、ブロンズ像としても世界屈指の作と称される名品中の名品です。2008年『国宝薬師寺展』では初の寺外での展示が叶い、また光背を外した状態で展示されたことで、優美な造形を360 度から鑑賞できたことでも大きな話題となりました。
実像は美しい曲線美と艶やかな黒光りが特徴ですが、この歴史的名品の復刻にあたり、身近にお祀りする際の味わいを重視し、敢えてブロンズではなく楠を用いた木彫像としました。そこに日本屈指の仏像彩色師である篁千礼が独自の彩色を施すことで、美術品としても価値ある逸品へと昇華させました。
彩色は人気の高い、確かな技、伝統を引き継いだ木彫彩色師 篁千礼先生にお願いいたしました。
作家コメント
肌の部分は金消粉による蒔絵技法を用い、鬱金色の衣は金茶の岩絵具に輝く雲母やパール系の粒子を混ぜ込み、頭髪と衣の裏には群青を用いて、薬師如来の瑠璃光を受け輝く姿を表現しました。
太陽の如く光を照らし苦しみの闇を消すとされる日光菩薩と月光の如く優しい慈しみの心で煩悩を消すとされる月光菩薩。
薬師如来の両脇に薬師三尊像として祀られるこの二尊は、薬師如来の十二誓願の威徳を昼夜問わず衆生にもたらす役目を果たします。
そのため健康長寿、病気治癒の御利益を持つことから、健康を願う方はもちろん医療従事者や製薬事業を営む方からも篤く信仰されています。
顔、腰、足にひねりを加えた技法「三曲法(トリバンガ)」による美しい造形ラインもこの菩薩像の魅力です。
物質的に恵まれていても健康を損なっては何もなりません。お薬師様の誓願のもと健康で充実した暮らしを求める方にもお薦めしたい作品です。