迦陵頻伽は極楽浄土に棲む6種の鳥のうちのひとつで、人頭鳥身の姿をしています。その名は「美しい音」を意味し、仏に次ぐと言われる美声で歌い、楽器を奏でながら宙を舞って極楽浄土の魂たちを慰めます。
単独で祀られることはありませんが、極楽浄土の象徴として様ざまな仏教美術に登場します。
手にするのは「竜笛」。竜は天と地の間、つまり「空」を象徴する存在です。柔和な表情と鮮やかに残る彩色が一層の華やかさをかもし出しています。
モデルは重文 文殊菩薩騎獅像の光背にあしらわれている一対の迦陵頻伽。天使にも似た表情で和の楽器を操る姿は、洋の東西を一身に融合させているかのようです。
イスムでは光背の一部であるこの救いと癒しの象徴だけをとりあげ、立体の造形として仕上げました。アクリル製の支柱を用いて軽やかに舞う姿を表現、衣や脚などに残る彩色もそのままに再現しています。