日本の仏師の協力のもと、仏像制作のしきたりを逸脱することなく、よりシンプルに供養と祈りのかたちを表現しました。現代のライフスタイルに溶け込む仏像としておすすめいたします。
【仏師の言葉】
観音さまは慈悲行を実践する菩薩です。自身が悟りを得て、彼岸に至るための修行が、結果として他者を救う行為(慈悲救済)となって現れる。これを菩薩行・菩薩道と言います。仏教思想では、人の心の内に「仏性」「菩薩性」という質性(しつせい)があると説かれます。その質性に、内から外から段階を追って気付かせ、心を調和に至らしめる働きを有する存在が観音菩薩とイメージしており、そのようなイメージを元に制作いたしました。
「現代仏像」を制作するにあたり、仏師 藤田燿憶師と入念な打ち合わせを重ねました。「お仏像から伝わる慈悲の心を感じ取っていただきたい」という思いを表現するために、「お仏像の存在を際立たせ、日常に溶け込む抽象的な光背」や「はっきりとした目つきではなく、心でみることを意識した眼差し」など全体を飾り立てず、極力シンプルなデザインを追求し彫り上げました。